システム開発は仕入れコストの発生しない仕事ですので、会社としてかかる経費は主に人件費です。そのため利益率を高めるには、人件費を削減するのが一番手っ取り早いのです。
そこで近年普及が進んでいるのが、オフショア開発とよばれる、日本よりも人件費の安い海外に開発を外注する手法。主にプログラミングや単体テストといった、プログラマーが担当する工程をオフショアに依頼することが多いです。
今回はそんなオフショア開発の今後について考えてみたいと思います。
オフショア開発はますます普及する
国内のITエンジニアが不足している背景もあり、今後もオフショア開発が普及していくことが予測されます。現に中小企業でさえも今や、海外拠点を出したり、現地法人とバートナーとなってオフショア開発を進めている事例もあり、オフショアを利用して人手が不足するPG工程を充足させる動きは活発になってくるでしょう。
ただしあまりにもオフショアに頼りすぎてしまうと、プログラマーを経験してからシステムエンジニアになるという、本来のエンジニアの成長ステップがなくなってしまいます。するとプログラミングも十分に経験せずに設計書を書くようになってしまい、質の高いシステムを設計することが難しくなってしまうかもしれません。この辺の話は「プログラマーは近い将来必要なくなってしまうのか?」でもご説明していますので、気になる方はご覧ください。
オフショア先の遷移
オフショア先については、10年前には中国が最も多い外注先でした。ちょうど中国が”世界の工場”と呼ばれていた時代で、IT業界のみならず、製造業や紡績業なども中国に仕事を発注していました。
なぜ世界中の仕事が中国に集まったのかと言えば、人件費が安く、多くの仕事をこなせるだけの人口があったからです。しかし中国人の人件費が高騰してきたことで、中国にオフショア開発を依頼することは徐々に減ってきました。
もともとオフショア開発は人件費の削減から始まった仕組みですので、その国の人件費が高くなれば、オフショア先も別の国に移るわけです。
そして現在オフショア先としてメジャーなのは、民主化が始まって民間企業の進出が激しいミャンマーや、IT人材を多く抱えるベトナムなど、東南アジアの国々です。東南アジア諸国は国民性という面でも日本人とは合うようで、非常に人気が高まっています。わざわざ海を渡ってまで仕事をしに来る東南アジア系外国人も多く見受けられます。
いずれの国も経済的には日本ほど経済が成熟しておらず、まだまだ発展途上という段階。人件費の水準もお手ごろ価格で、オフショア先にはちょうどよい国なのです。
10年後にはラオスやカンボジアがオフショア先に
ただし現在オフショア先として利用している各国も、経済の発展とともに人件費も高騰していくでしょう。そうなると、費用対効果が悪くなり、わざわざオフショアに出すうまみがなくなってしまいます。そうするとその先のことを考えなくてはなりません。
個人的な見解を申しますと、10年後にはラオスやカンボジアといった国々がメジャーなオフショア先となるのではと思っています。人件費という面で考えればどんどん安い国にシフトしていきますので、経済的に後進国であるラオスやカンボジアに注目が集まってくるでしょう。あとはそれぞれの国がどれだけ自国のIT教育に力を入れるかも重要になってきますが・・
10年後を見越して、今のうちからカンボジアなどに拠点を用意する準備をしておくのもよいでしょう。
インドのオフショアはあまり伸びない
人口で言えばインドは中国に匹敵するぐらいの大国です。それにIT教育も国家が積極的に推進してきた経緯があり、ITエンジニアの数もそれなりに豊富です。もともと”ゼロ”という数値の概念もインド人が発明したと言われていますし、インド人は頭の良い人が多いようです。
ただし日本のオフショア先としては、インドはあまり伸びていかないと考えています。東南アジアに比べて、少々文化や国民性が異なりますし、本当に頭の良いインド人は、先進技術を利用した開発がしたいという想いや、正当に自分のスキルを評価してもらいたいという想いから、欧米のIT企業と連携を組むことが多いものと予想します。
おわりに
これからのシステム開発においては、世界的な情勢の混乱がない限り、オフショア開発は切っても切り離せない仕組みとなっていきます。そして開発予算は抑えられる一方、日本人プログラマーの居場所がなくなり、日本人SEの質の低下につながるというリスクも同時に発生するでしょう。
そして近い将来のことを考えるならば、現在のオフショア先としてメジャーな東南アジア諸国ではなく、少し先の目線で動いてみるのが良いのではないでしょうか。
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