大手ソフトウェアベンダーやユーザー企業はその数も限られていますが、中小ソフトウェア企業となると、その数も非常に多いです。そして同じように見えるソフトウェア企業でも、取引先だったり、得意な開発分野だったり、それぞれに特徴があるものです。

そこで今回は、あくまで個人的な意見になりますが・・就職するのを気を付けた方がいい、あまりおすすめできないようなソフトウェア企業の特徴をご紹介したいと思います。

(個人的に)おおすすめできないIT企業の特徴

裁量労働制を設けている

裁量労働制とは時間と成果が結び付かない職業(システムエンジニア、デザイナー、コピーライターなど)で設けることができる制度で、会社側が一定の仕事を与えるかわりに、労働者の裁量で好きな時間帯で終わらせておいて、といったものです。

つまり会社は一日に8時間分の仕事を与えるから、好きな時間に(もしくは好きな曜日に)作業をすればよいのです。裁量労働制のことを何も知らないと、昨今の”働き方改革”にもマッチしている、非常に良い制度だと勘違いをしてしまうので要注意です。

もし会社が定義した8時間分の作業量が、8時間では終わらず12時間かかってしまった場合も、それは作業担当者の能力不足であり、想定を超えた4時間分の残業代が支払われることはありません。

確かに技術職の場合、スキルの未熟な人ほど作業を終わらせるのにかかる時間が多くなり、その分残業代が支給されて、できる人よりもできない人の方が給料が多くなるのはおかしな話ではあります。ですがまったく支払われないのもおかしな話なのです。

会社側が個々のスキルレベルに応じて、8時間分の仕事を与えてくれるなら良いですが、そういうわけにはいきません。できない人はいくら残業しても能力不足とみなされ残業代は支払われません。また労働者の裁量で好きな時間に仕事ができると言っても、システム開発はプロジェクトチームで動きますし、お客様がいる以上は平日のオンタイムに仕事をすることになるでしょう。

裁量労働制を設けている企業は、残業代の支払いを削減するために導入することが多いのではないでしょうか。個人で仕事をする職人ならまだしも、SEの業務体系には合っていない制度なので、裁量労働制を設けている会社は気を付けた方がいいかもしれません。

みなし残業も注意

みなし残業として、月々に〇〇時間分の残業をすることを見越して、〇〇円分の残業代を基本給に上乗せして支払います、という会社も気を付けた方がいいかもしれません。会社側がみなした残業時間を超えた場合、超過分の残業代が支払われない可能性があります。

もし超過分が支払われたとしても、みなし残業代は基本給が少ないのをごまかすため(ぱっと見の給与総額の印象を良くするため)に設けられているかもしれません。

人事や事務などの間接部門の人数が多すぎる

人事や事務などの間接部門の人数が多すぎる(割合が高すぎる)のも注意です。

ソフトウェア企業において、利益を生み出すのはエンジニアです。間接部門の人間がどれだけいたところで、売上をつくっていくことはできません。SEやPGなどのエンジニアは、間接部門の人たちに支払う給料分も含めて稼がなければならないのです。もし間接部門の人数が少なければ、自分たちの給料が増えたり、別の投資に回せると思いませんか?

ただし人事や事務も会社運営にとっては大事な存在です。そうした人たちがいるからこそ、システムエンジニアが会社運営のことを意識する必要なく、開発案件に没頭できるのも事実です。

少なからず間接部門はソフト会社にとっても必要ではありますが「あの人ふだん何の仕事してるんだろう」という人が多くみられるのは注意です。入社前はなかなか内部のことまで分からないかもしれませんが、会社説明会などの機会があれば、間接部門の人数も確認してみるとよいでしょう。

取引先が中小ソフトウェア企業ばかり

会社のことを調べる際には、取引先のことも確認しておきたいものです。もし取引先が中小ソフトウェア企業ばかりであれば、悪いことではありませんが、気を付けた方がよいかもしれません。

と言うのも、IT業界では深刻な多重下請け構造があります。お客様であるエンドユーザーのシステムを開発するのに、一次請け、二次請けならまだしも、三次請け、四次請けにまでなってくると、中間業者からあらゆる搾取が入ることになり、末端のソフトウェア企業の売上が減少してしまいます。それはエンジニアの賃金に反映されるということです。
※参考記事「多重下請け構造はIT業界の闇。これがエンジニアの賃金を低くする

取引先にはユーザー企業、大手ソフトウェアベンダー、中堅どころのシステムインテグレーターぐらいの名前を確認できるとよいでしょう。

SEを売上を上げるための商品のように考えている

システムエンジニアやプログラマーとして就職するのであれば、長きにわたって活躍できるように、スキルを磨いてエンジニアとして成長してきたいと思うはずです。

だからSEとしての成長が期待できないような、SEを売上げを上げるための商品としか考えていないような会社は避けた方がよいでしょう。ソフトウェア企業はエンジニアを商品として売っているわけではなく、エンジニアが持っている技術力を売っているのです。

会社説明会などで志望企業の人に質問する機会があれば、新卒入社からの教育体制や現社員の成長の度合いなど、技術者としてのレベルアップに関する質問をぶつけてみましょう。もし所属のSEがヘルプデスクや、詳細設計やプログラミングしか担当していないような会社は、SEとして成長できる見込みが薄いかもしれません。

 

おわりに

今は就職活動においても、就活生が企業よりも優位に立つ売り手市場です。システム開発ができればどの企業でもいい、というのではなく、しっかりと良い会社に入社できるよう会社選びは慎重に行うことをおすすめします。

今回ご紹介したようなポイントは、現在SEを目指している方は、是非会社選びの参考にしていただければと思います。

 



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