現在のIT業界は人材不足に悩まされています。それにも関わらずIT需要は高まりを見せており、近い将来は今以上の深刻な人材不足に陥ることが予測されます。
そこで課題になるのが、人口減という状況の中、どうやって不足するIT人材を補っていこうかということ。そうした課題を解決するべく、現在では以下でご説明するような3つの人材層に注目が集まっております。
60歳~65歳のシニア
少子高齢化という背景もあり、IT技術者も高齢化が進んでいるのは事実です。
日本の多くの企業では定年制を設けていることがほとんどで、かつては60歳で定年となり、60歳を境にしてSEも開発の現場から姿を消していました。しかしまだまだ体も元気で、働く意思のある60代を退職させてはもったいない。そこで2012年に成立した改正高年齢者雇用安定法によって、60歳を超えた従業員は、本人の希望によって65歳まで雇用されることになりました。
こうして60歳~65歳までの5年間ではありますが、より長くSEとして開発の現場で活躍できるようになったのです。
年配のSEが貢献できること
ただし開発の現場で活躍しようにも、高齢SEの場合、プログラミングや作業スピードという面では、若いSEと比較すると、どうしても劣ってしまいます。
そこで60歳以上のシニアSEの場合は、今までのエンジニア人生で培ってきた経験を武器にして、開発の現場で貢献していきます。マネージメントの支援や、業務知識の共有など、ベテランだからこそできる領域で力を発揮していくことになります。
女性
システムエンジニアは男性比率の多い職業です。女性SEもゼロというわけではありませんが、ごくごく少数。SEは経験を積むことで技術者として成長していく職種ですので、結婚や出産などで離職することを考慮すると、女性本人としても、会社側としても、SEとして働くこと(働いてもらうこと)という点では一歩引いていたのかもしれません。
しかし昨今の働き方改革により、女性の社会進出が推進されています。2016年には「女性活躍推進法」という法律も施行されました。ミクロな視点では賃金が上昇することなく、夫婦共働きという概念が当たり前になっているだけかもしれませんが、とにかく女性も重要な働き手となっている時代なのです。
もちろん出産や育児といったライフイベントはおろそかにすることはできませんが、企業側も女性の出産や育児をサポートしていくことが求められています。
システム開発という仕事自体、建設業のように体力勝負ではありませんので、女性でも活躍しやすい仕事内容ではあります。今後は女性SEという存在もきっと増えてくることでしょう。
これからの女性SEの活躍については「今後は女性SEが増加する可能性大。その理由や課題・恩恵について」でも詳しくご説明しておりますので、こちらをご参照ください。
外国人
外国人のITエンジニアを見かけることは以前からありましたが、10年ぐらい前は外国籍SEのほとんどが中国籍のエンジニアでした。しかし昨今ではベトナムやミャンマーなど、東南アジア諸国のSEが非常に多くなってきております。
日本でもようやく2020年から小学校でのプログラミング教育をスタートさせる見込みのようですが、東南アジア諸国でもIT教育は国家的に推進しており、技術力の高いエンジニアが多数育っております。あと日本で働くのにネックとなるのが日本語という言葉の壁ですが、外国籍SEは向上心の高い人も多いため、日本語の勉強にも積極的です。
外国籍のSEに関しては、東京ではもはや当たり前のように稼動しているかもしれませんが、名古屋などの地方都市では、まだまだ心理的な障壁が無いとはいえません。お客様先に常駐するプロジェクトでは、どうしても客先面談でNGになってしまうことも多いです。
※参考記事「外国人エンジニアの採用は地方都市ではまだまだ敷居が高い!?」
しかし日本のIT人材不足がこれからますます深刻になるのであれば、外国人のSEとも上手に付き合っていく術を、日本人が会得して行く必要があるでしょう。
おわりに
これからの日本のIT産業を支えていくには、シニアSE、女性SE、外国籍SEという3つの人材層が、積極的にシステム開発の現場で活躍していくことがポイントになっていきます。業界全体としては、こうした人材が働きやすい環境を作っていくことも、ひとつの課題となることでしょう。
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