システムエンジニアに求められる能力。プログラミング能力・・設計能力・・工程管理能力・・顧客折衝能力・・などなど、その要素をあげればキリがありません。

ただひとつ言えるのは、どれかが絶対に必要ということもなければ、特定の一つだけを満たしていれば良いってことでもない。恐らくシステムエンジニアにとって一番必要なのは”バランス力”なのでしょう。

実務での開発業務は連係プレー

なぜバランス力が求められるのかと言うと、仕事としてのシステム開発となるとチームでの連携プレーが求められるからです。

メンバーとしてのバランス力

自分はマネージャーでもリーダーでもないから関係ないと思っているかもしれませんが、イチ開発メンバーであっても、管理される能力が求められるのです。

プロジェクトチームのメンバーには通常、自身の担当作業が割り振られます。チームの一員として動くということは、進捗だって報告しなければなりませんし、外部連携ツールの作成であれば、他メンバーとも密に連携を取っていかなければなりません。時には別メンバーのサポートだって依頼されることもあるでしょう。

そうするとただ技術力があるというだけで、ガリガリと開発をこなすエンジニアよりも、周囲の状況をよく見て、チームの中での自分の役割をしっかりと演じられる技術者の方が、リーダーとしては非常に使いやすいものなのです。

管理者側にとってのバランス力

リーダーやマネージャーなど、管理者側にとってもバランス力は非常に大事。と言うのもメンバーは自分の思った通りに動いてくれないからです。

自身で作成した独りよがりな進捗計画にメンバーを従わせ、メンバーが工程遅れを起こしたからといって、全て当該メンバーの責任として片付けるのはお門違いというもの。管理者の仕事は”管理”であり、チームのリソースを把握し、手の空いているメンバーをサポートにつけたり、しかるべきタイミングでの顧客対応も必要になります。

リーダーやマネージャーが持つ力としても、スケジューリング能力だけでもいけないし、メンバーや顧客に対しての共感力だけでもいけない。プロジェクトを円滑に進めたいのであれば、総合的なバランス能力が求められるのです。

トラブル対応のときにもバランス力が大事

以前には「システムトラブルの発生時にSEが取るべき対応とは」といったエントリーも書きましたが、トラブル対応時に大事なのは、トラブルを巻き起こした犯人を捜すことではありません。いかに速やかに、被害を最小限にして、お客様が納得できる落としどころを用意して事態の収束を図るかが課題となります。

トラブル対応の責任者は障害対応担当者を任命し、想定しうる影響範囲をあげて、お客様への運用リカバリ方法を提示するなど、細かいタスクを並行して処理していかねばなりません。こうしたこともバランス力の高いエンジニアの方が、より質の高いトラブル対応を行うことができるでしょう。

何かに特化して秀でているより、平均以上がよい

システムエンジニアと聞くと専門技術に特化した集団のように思ってしまうかもしれませんが、結局は総合的な能力が求められるもの。

だから何らかの技術領域に特化して秀でているよりも、あらゆる要素で平均、もしくは平均以上の能力を持っているエンジニアの方が、”できるSE”と評価してもよいでしょう。

もちろん専門技術に特化することも大事なのは間違いありません。「自分はJAVAでのコーディングなら誰よりも無駄なくソースをかける」という能力があれば、JAVAでの開発現場では重宝されるでしょうし、もっとマイナーな言語や技術領域であれば、エンジニアとしての希少価値も高まります。

そうした自身のブランディングも大事なのですが、それが通用するのはイチエンジニアとして。リーダーやマネージャーなどの管理者側に近いエンジニアになればなるほど、総合力が求められます。

 

おわりに

システムエンジニアだからといって、技術力だけを磨いていてはいけません(先述したように技術力を磨くことは悪いわけではありませんが)。

どうしても仕事としてのシステム開発となると、技術力、顧客調整力、スケジュールの管理能力、メンバーへの共感力、とっさの判断力などなど、あらゆる要素を平均以上に高めていった方が重宝される存在となることでしょう。