当社が東京都と名古屋市の二拠点での営業活動を行っている事情もあり、私自身もその二都市間を行ったり来たりしております。

そうするとソフトウェア業界における、東京と名古屋での感覚の違いみたいなものも敏感に感じ取ることができますので、今回は東京都と名古屋市で比較するソフトウェア業界のあれこれ(市況感とか、人手不足感とか)について、ご説明していきたいと思います。

システム開発案件の数

まずはシステム開発案件の数についてですが、こちらは想像に難くないでしょう。名古屋市と比較すれば東京都の方が圧倒的にシステムの需要は高いです。

なんと言っても日本の首都である東京ですし、東京一極集中とも言われるぐらいですから、金融・公共・製造・小売・物流・メディアなど、多種多様にわたる開発案件が存在します。

逆に名古屋を中心とした東海地方は”ものづくり”が強いと言われているように、製造業にまつわる開発案件が多いです。昨今増えてきているスマホアプリの開発にしても、メディアやゲーム系ではなく工場内で使用するIoT絡みがほとんど。

また世界的自動車メーカーの本社も愛知県内にありますので、自動車関連のシステム開発も多いという特徴があります。

エンジニアの数

これも言わずもがなではありますが、ITエンジニアの数も東京都が多いです。ですが注目すべきは人口に対するエンジニア比率です。

関東近郊(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の単純な人口は(2015年の国税調査によると)、36,130,685人であり、東海地方(愛知県、岐阜県、三重県)の単純な人口は11,330,896人となります。その差3倍強と言ったところでしょうか。

ただエンジニアの数で言うと、これは普段から転職サイトの人材データベースなどを見ている私の肌感覚ではありますが、東海地方と比較して関東近郊には6,7倍ぐらいのエンジニアがいる感じがします。

あくまでITエンジニアの数というと正確な数字ではありませんが、単純な人口差以上の、大きな差があると言ってよいでしょう。

エンジニア不足感について

続いて昨今騒がれている人手不足問題について。

ソフトウェア業界についてもエンジニア不足が問題になっていますが、需要と供給のバランスを見ていくと、必ずしも東京が日本一エンジニアが不足しているということもないでしょう。

私自身が感じる市況感で言えば、圧倒的に名古屋の方がエンジニア不足感は強いと思います。先に東京は案件数も多いと説明しましたが、エンジニアの数もとても多いです。それに加えて、名古屋では人の動き(流動性)が低いので、新規の開発プロジェクトでもなかなか人が集まらなかったりします。

エンジニア採用という側面で考えても、(求人数と求職者のバランスも関係しますが)東京よりも名古屋の方が採用難易度は高いです。

若手エンジニアの引き合いの違いは顕著

このように程度の差こそあれど、東京と名古屋のどちらも人手不足であることに代わりはないのですが、若手エンジニアに対する引き合いの差は顕著に異なります。

若手エンジニアといっても3年未満のエンジニアのことをここでは指しますが、名古屋であれば若手でも引き合いをいただきますが、東京では若手だとなかなかスキルに見合う開発プロジェクトに参画することが難しかったりします。

もちろん需要供給のバランスということも影響しておりますが、それ以上に名古屋と東京でビジネスに対する向き合い方の違いみたいなものもあったりします。

名古屋という市場はとても閉鎖的な地域であり、目の前の利益以上に会社間との付き合いや関係性を大事にするという気質があります。こうしたことは地方都市の方がより顕著になりますし、一時の金銭的なメリットよりも、持ちつ持たれつの関係性を大事にするような感覚。

対して東京では日々さまざまな企業が市場に参入している事情もあり、昔ながらの付き合いといった目には見えにくい要素よりも、いかにビジネス的メリットがあるかどうか、ということを追求しがちです。

東京ではそもそも若手エンジニアの数も多いですし、なおかつスキルも低いとなると、なかなか開発プロジェクトに参画することが難しくなってきたりするのです。だから当社でも中途採用の場合は、保有してるスキルレベルの要求を高くするなど、採用面でも東京はハードルを高くしていたりします。

 

おわりに

ソフトウェア業界といっても、日本国内の市場ですから基本は東京でも名古屋でも同じなのですが、細かく見ていくと市況感は微妙に違っていたりします。

ソフトウェア企業の経営や営業戦略を立てる上でも、今回ご紹介したような違いを加味されるとよいかもしれませんね。

 



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