仕事としてのシステム開発は、多くの場合は複数名で行うチームプレーとなりますので、チーム内連携のために様々な報告が飛び交います。

ただ業務報告をする場合には、誰彼構わず一辺倒の報告をしているようではいけません。報告上手と呼ばれる人は、相手の属性というか、相手の知りたいことを鋭く意識しているものです。

相手が知りたいことを報告するのが基本

まず報告を行う際の大前提ですが、報告とは自身が報告したい内容を述べるのではなく、相手が知りたいと思っているだろう内容を報告するのが本質です。つまり自分本位ではなく、相手本位の行為なのです。

チームではマネージャー、上長、メンバーなど、それぞれが役割を持って動いており、管理している内容も違います。

「状況どうですか?」という背景の見えずらい質問であったとしても、相手が知りたいだろう事項を想定し、その点を軸にして報告内容を展開していくと、より良い報告になります。これは文書でも口頭でも同じです。

それでは立場の違いによってどのようなことを気にかけているのか、何を報告するのが望ましいのかなど、以下に事例を挙げていきましょう。

PM

まずはPM(プロジェクトマネージャー)と呼ばれる管理者から。

PMが管理しているのは工程です。だから報告内容としては第一に進捗状況を説明していくと良いでしょう。担当工程がオンスケなのかどうか、もしも工程遅延を起こしていればその理由や対策について説明します。

工程進捗会議などの場でも、まずは進捗率を簡潔に述べましょう。
進捗報告については「進捗報告の進捗率は何を根拠に示せばよいのか?そのコツをご紹介」の記事をご参考にどうぞ。

PL

大きなプロジェクトでPLの存在がいる場合は、PLは個々の品質にも気を配っています。

もしシステムの品質を落としてしまうような欠陥などがある場合は、PLに報告するようにしましょう。他メンバーへ影響を与えてしまうような不具合や、担当者がグレーな部分の不具合なら、なおさら進んで報告するようにしましょう。

対応策も合わせて報告できると良いですが、良案が思いつかなくてもまずは報告するのが第一です。報告するのがメンバーの役割、解決策を講じるのがリーダーの役割なのですから。

上長

自身の行動を監督している上長に対しては、自身の担当業務を進めていく上での問題点などを、相談も兼ねて報告していくと良いでしょう。

上司や上長としては、しっかりと後輩社員の業務をサポートしていくという責務がありますので、後輩社員が抱えている問題点などの報告を受けることができれば、適切なアドバイスを出すことができます。

面倒を見てもらえる間は、進捗に関すること・技術的な問題点・勤怠に関することなど、些細なことでもよいので報告していくようにしましょう。

メンバー

同一チームのメンバーへは、報告というよりも情報共有のための連絡になりますね。

例えば「他メンバーが担当しているプログラムとの連携が必要になるとき」や「テストのためにマスタデータを変更したいとき」など、他メンバーとの関わり合いが必要になるときには、随時タイミングを見計らって報告をしていくようにしましょう。

お客様への報告内容にも頭を使おう

報告が必要になるシチュエーションは、対チーム内だけではありません。時には対お客様にも「進捗報告」「事故報告」「状況報告」といった類いの報告をします。

お客様との報告は、チーム内での報告とは違い、一つの報告が予期せぬ方向へ進んでしまうこともありますので、報告内容はより慎重になって考える必要があります。

不確定なことは言わない

まずお客様への報告の際には、絶対に不確定なことは言わないようにしましょう。

例えばお客様からデータ調査依頼を受けた場合、必ず調査した結果をもって、論理立ててお客様に状況を報告するようにします。

また「○○の処理も追加でお願いできる?」なんて頼まれごとを受けたとしても、「できると思います」とあやふやな返答もいけません。

「言った・言わない」の論争になってはどちらも消耗してしまうので、必ず確証をもった内容を報告するようにしたいものです。

あえて情報の全ては開示しない

対お客様には誠実であることが大前提ではありますが、要件確定や仕様決めなどの際には、ユーザーをコントロールして打合せを進めやすくするという意味で、あえて全ての情報を開示しないこともあります。

もちろん不正を隠すというわけではありません。打合せをスムーズに、そしてシステムをより機能的にするために行うもので、報告をする上での一つのテクニックのようなものですね。

 

おわりに

かつて「開発チームのメンバーとしての”管理される能力”の大事さと磨き方」という記事を書きましたが、報告の内容ひとつとっても、管理される能力が見えてくるものです。

仕事というのは他者との関わり合いがもたらすものです。報告をする際にも、常に相手がいることを意識して、相手本意で報告内容を組み立てていくように心がけていきましょう。