開発スケジュールは遅れるもの。という常識を持ってはいませんでしょうか? 本来スケジュールは遵守するものであり、工程遅延はあってはならないものです。

ですが悲しいかな・・遵守すべき開発スケジュールが遅れてしまうことは多々発生します(きっと現時点も日本のどこかでは工程遅延により炎上プロジェクトが生まれていることでしょう)。

ですが実際にスケジュールが遅れてしまえば、なんとかしてリカバリするしかありません。今回は工程遅れが生じた際に、SEとしてやるべきことについてご説明していきます。

残業する

まず工程の遅れを取り戻す一番簡単な方法は、労働時間を増やすことです。工程管理で使われる人日計算は、1日8時間で見積もられますので、1日8時間以上の労働をしてリカバリーしていきます。

ただ「どうせ残業すればいっか」という思考が常態化するのは危険なので、残業という選択肢も非常時の手段という意識で、基本は時間内に業務を終わらせられるように努力しましょう。

かつては納期遵守のためなら2,3日の徹夜も当たり前という風潮がありましたが、昨今では会社側も労務管理にはシビアになってきておりますので、残業でリカバリーするのは極力控えたいものです。

作業効率を高める

スケジュールの遅れを取り戻すには、作業効率を高めるという選択肢もあります。

作業効率を高めるには、抱えているタスクを消化する優先順位の付け方から、他者との連携の調整、設計やプログラミングの効率化など、あらゆる局面でちょっとだけ意識を変えることで、少しずつ効率を上げていきます。

例えば積極的に他システムの設計書やソースを流用したり、不明瞭な部分の質問は事前に投げてアイドリング時間を防いだり、手戻りが発生しないようユーザーとの間で認識合わせを徹底したり、自身で悩む時間を減らして周りの協力を仰いだりなどなど・・

残業をしてリカバリーするよりも、よほどクリエイティブで推奨される行為ですので、頭を働かして業務効率を高めていきましょう。・・とは言え、担当SEの能力値などもあり現実問題としてはなかなか難しいかもしれませんね。

担当業務の見直しを行う

残業規制などの問題もあり、自分一人で工程遅延をリカバリーできない状態であれば、担当業務の見直しを検討するしかありません。

とは言ってもチームで動いている以上、担当SEの判断で勝手に見直しをするわけにもいきませんので、PLやPMといった管理者にまずは相談することから始めましょう。チーム内の作業平準化もマネージャーが遂行する業務の一つなので、自分一人で解決しようとせずに、頼るべきときには人の力を借りることも大事です。

そして相談ごとは「早め早め」が鉄則。チームとしてどうにも手が負えなくなってからでは遅いので、一人ではリカバリーできないほどの遅延が生じそうになった段階で相談を持ちかけてもよいでしょう。

ただこれも担当SEが持つスキルの特性によって、結局は自分しか対応できないなどの問題で、なかなか上手くいかないことも多いですね。

リスケする

これはもう最終手段と言いますか、どうしてもスケジュール遅れを取り戻せないようであれば、リスケするしかありません。

リスケする場合は二つのパターンに分かれます。

  • 納期は変更せず、フェーズごとのスケジュールを見直す
  • 納期そのものを後ろに見直す

前者の場合はPL・PMレベルの判断で、スケジュールの見直しをしていくしかありません(もちろんまずは相談からスタートです)。

後者の場合はお客様をも巻き込む事態となるため、プロジェクトとしてどうしていくかという方針を、お客様とも調整していく必要があるでしょう。

納期を後ろにずらすということは、それだけ開発期間が延びるということですので、開発にかかる予算の問題とか、より複雑な問題と化していきます。

納期を延長するのはお客様業務の兼ね合いもあり、そうそう簡単にできることではありません。PMとしてはプロジェクトはじめに工程表を作成する際には、ある程度バッファを加味した形で線引きしていきたいものです。

 

おわりに

ひとたび工程遅延を起こしてしまうと、チームメンバーは消耗し、システムの品質は低下し、ともすれば余計な予算が発生してしまうことにもつながります。

できることなら当初のスケジュール通りに進めたいものですが、進捗がかんばしくなく、工程が遅れているようならなんとかしてリカバリーできるよう努めていきましょう。