昨今では政府主導で働き方改革が叫ばれており、社会的にも長時間労働を規制する動きが強まってきました。

システムエンジニアという職業は昔から3K(「きつい」「厳しい」「帰れない」)なんて言われることがありますが、実際のところどうなのでしょうか。システムエンジニアの労働環境について、実際にシステム開発を事業としている当社の見解を述べたいと思います。

昔に比べて労働環境は改善された

まずはっきり言って、システムエンジニアの労働環境は一昔前に比べてかなり改善されています。長時間労働を是正するような社会的な動向の影響もあり、残業時間はかなり減少しています。

それにIT業界では大手ベンダーが元請となり、そこに中小規模のソフトウェア企業が集まってプロジェクトを遂行することが多いのですが、大手ベンダーほどコンプライアンスのこともあって労働環境には厳しく目を光らせておりますので、逆に働きすぎると注意されてしまうほどです。

今の50代世代のエンジニアの話を聞くと、2徹3徹は日常茶飯事みたいなエピソードが出てきますが、現代においては徹夜をすること自体滅多にありません。

36協定に対する意識も高くなってきた

そもそも従業員の労働時間は労働基準法で限度が定められていますので、無尽蔵に残業させてよいわけではありません。

企業は従業員の時間外労働について労使間で締結した、いわゆる36協定と呼ばれる届出書を労働基準監督署に届け出ています(中には36協定届を届け出ていない企業もありますが、それは労働基準法違反です)。36協定では残業時間の限度が定められており、一般的には1ヶ月に45時間まで、1年間では360時間までが従業員に残業させてよい限度となります。

昨今ではこの36協定に対する意識も高くなってきており、チームメンバーの残業時間に関しては、プロジェクト管理者がしっかりと管理していく風潮になってきております。

上限を超えることもある

上記の「1ヶ月に45時間まで、1年間で360時間」は基本ですが、36協定には一部例外があり、その基本を取っ払うことができる特別条項を適用させることが可能です。特別条項を適用させることで、1ヶ月に45時間までのところを、例えば1ヶ月に100時間の残業までを認めることができるようになるのです(特別条項適用時の上限は会社によって異なります)。

ただしこの特別条項を適用させるにも限度があり、年間6回までと定められています。

それでも忙しいときには稼動も高くなる

残業時間は短縮する動きにはなっているのですが、それでも忙しいときには稼動も高くなってしまうのがシステムエンジニアの宿命。毎日一定の作業量をこなしている保守・運用系エンジニアは例外ですが、開発系エンジニアであれば、どうしても納期に近づくにつれて残業時間が増えていきます。

プロジェクトの炎上を防ぐなら「工程厳守」と「品質確保」を忘れるな」でも説明しているように、プロジェクトマネージャはじめ、担当エンジニアが工程や品質に対する意識をしっかりと持っていれば、プロジェクトが炎上して体力も気力も尽き果てるようなことは少ないかもしれませんが、この業界ではプロジェクトがうまく進まないことも多々あります。

納期前になって工程戻りとなる作業が発生したり、予期せぬ問題にぶち当たると、先に説明した36協定の特例事項を適用して、残業時間の限度延長をするのが一般的。このときばかりは徹夜をして作業をしているエンジニアも見かけます。

労働環境が改善されてきたとは言いつつも、システムに納期がある以上、突発的に稼動が高くなる月があるのはしかたがありません。

月間の残業時間の平均値

当社の場合、残業時間の平均値は参画しているプロジェクトによっても変わってきますが、システムの納期前とかでなければ、平均して15時間ぐらいではないでしょうか。残業時間を毎月10時間以内に抑えているエンジニアもたくさんいます。

さすがにシステムの納期前だと稼動は高くなり、残業時間も40時間~100時間ぐらいになることもあります。ただし一人だけが忙しいわけではなく、チーム全体が忙しくなるので、プロジェクト内での一体感が出てくるのはせめてもの救いでしょう。

 

おわりに

システムエンジニアの労働環境は過酷であると言われることもありますが、多くの場合は一昔前のエンジニアの武勇伝がもとになっているのでしょう。もちろん現在でも突発的に忙しくなるときはありますが、それはどの職種でもありえることだと思います。

あとはエンジニア本人が品質や工程に気を配り、自分で残業時間を抑えるという意識を持つことも大事です。

現在ではエンジニアが徹夜をしてまで作業に追われることも稀ですし、全体として残業時間も少なくなってきています。徐々にホワイト化していますので、これからIT業界に入ろうという方も、そこまで心配することはないでしょう。

 



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