年々増加の一途をたどる”うつ病患者”の数。IT業界でも対人関係から起こる過度なストレスや、過酷な労働環境が原因で、うつ病と診断されメンタルを壊してしまう技術者が一定数存在します。
うつ病をはじめとした精神疾患は、怪我のように一定時間が経過すれば治るものではなく、完治させることが難しい病気。一度でもかかってしまうと、再発を起こす可能性も高い厄介な疾患です。
少しでも心を壊してしまうシステムエンジニアが減るように、会社側ができる努力について書いていきたいと思います。
所属エンジニアを一人で常駐させない
お客様先での常駐となる場合、常にお客様からの評価を気にすることになり、社内開発よりもエンジニアの緊張度は高まります。現場にも慣れてくればそこまで意識することもなくなるでしょうが、慣れるまでに要する時間にも個人差があります。
いくつもの現場を潜り抜けてきたようなベテランエンジニアであれば大丈夫でしょうが、まだまだスキルの未熟な若手エンジニアであれば、客先常駐するということ自体にストレスを覚える人もいます。
だから常駐案件では自社エンジニア単体で参画するのではなく、二名以上のチーム体制で参画するような取り組みをすると、エンジニアが感じるストレスも軽減されることでしょう。それに昨今では偽装請負などの問題もありますので、そういった面でも客先常駐の場合は、二名以上の体制を整えておきたいものです。
上長・先輩社員がフォローできる体制を整える
新人のころはOJTなどで先輩社員が目を離さずに、しっかりと後輩社員をフォローできるような体制を敷いている企業も多いですが、ある程度育って一人前になれば、そこまで先輩社員から干渉されることもないでしょう。
いちいち干渉しないということは、自立性を高めるという点でも効果的ではありますが、放置してはいけません。「干渉しないこと」と「放置する」ことは決してイコールではないのです。
同じ現場で稼動している後輩社員に、悩みを抱えているような素振りが見られたら、すかさずフォローして一緒に問題解決できるような手助けをしてあげるとよいでしょう。職場の人間関係や技術的なことなど、悩みの種類もさまざまだと思いますが、「自分でどうにかしろ」と突き放すのではなく、しっかりと面倒を見てあげる姿勢が大切です。
悩んでいる側からしたら、自分からは進んで相談しにくくても「何か悩んでいることでもあるのか?」と声をかけてもらえると、悩みを打ち明けやすくなるものです。
チーム内の部下や後輩社員の面倒を見ることができる能力も、査定時の評価対象とするような制度を設けることで、自ら進んで面倒を見ていくエンジニアが増えるのではないでしょうか。
勤務時間は厳しくチェックする
残業が多いと言われるシステムエンジニアですが、昔ほどではないにしろ、やはり納品前などの繁忙期には残業時間がどっと増えてしまうこともあります。
残業は本来なら生まれる余暇時間を削って行う行為です。通常であれば余暇時間でリフレッシュして、日々の業務に取り組むための英気を養うものですが、自由な時間が削られるとメンタルに異常をきたしやすくなってしまいます。
何ヶ月も連続で残業時間が増加していたり、休日出勤が続いて休息日が取れていないようであれば、メンバー内で作業の平準化を図ったり、エンジニアを現場に追加するなりして、できるだけ過度な残業が続かないような配慮をしなければなりません。
エンジニアを管理するマネージャークラスであれば、日々の勤怠実績をしっかりとチェックしたり、体調の悪い人が増えていないかなど、勤務時間にはしっかりと目を配るようにしましょう。
おわりに
何かとストレスを受けることの多い現代社会では、うつ病をはじめとした精神疾患にかかる可能性は大いにあります。うつ病になってしまい、仕事を続けたいのにドロップアウトすることになったシステムエンジニアもたくさん見てきました。
「自分は大丈夫」だと思っていても、うつ病になってしまう可能性はゼロではありません。だからこそ、少しでもメンタルを壊すエンジニアが減るように、会社側もさまざまな取り組みをしていかなければならないでしょう。
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