オープン系システムが普及してからというもの、「COBOLなどの汎用機系システムはいずれなくなる」と言われるようになって長い年月が経過しました。各企業マイグレーションが進み、確実に汎用機系のシステムは減ってきてはいますが、決してゼロになったわけではありません。一部ではまだまだ現役で汎用機が動いています。

ただ汎用機系システムの減少に伴い、汎用機系エンジニアも同様に減少したため、今はちょうどバランスが取れています。しかし10年後にはCOBOLやRPGといった汎用機で使用される言語を扱えるエンジニアは確実に不足することになるでしょう。

10年後には汎用機系エンジニアが貴重な存在になる

今COBOLやRPGなどの汎用機系の開発ができるエンジニアは50歳以上が多くなってきています。40代でも若いなと感じるぐらいです。

エンジニアも不老不死ではありませんので、時の流れとともに歳を取っていくわけですが、あと10年もすれば汎用機系エンジニアは60代ばかりになってしまいます。企業の定年が延長されるといっても、バリバリと働けるのは65歳ぐらいまででしょう。そうなると10年後には汎用機系エンジニアが不足するのは目に見えています。

世の中需要と供給のバランスですから、不足するということは、貴重な存在になるとも言えます。ましてや15年後、20年後となれば、汎用機系エンジニアを探すことが困難になりますので、汎用機系エンジニアの作業単価が高騰するかもしれません。

かつては「汎用機はいつかなくなるから早いうちにVBやJAVAなどのオープン系言語にスキルチェンジしないといけない」と言われていたにも関わらず、逆にCOBOLを扱えることで市場での存在価値が高くなるのは皮肉なものです。

エンジニア不足の問題は理解していても汎用機はなくならない

上記で説明したように、IT業界に身を置く人間であれば、あと10年もすればCOBOLなどを理解できる汎用機系エンジニアが不足して問題化することは、誰しもが気づいているはずです。

その問題を解決するにはどうすればよいかと言うと、「早いところ汎用機からオープン系へのマイグレーションを進める」です。単純なことのように思えますが、なかなかオープン化が進まないという現実もあります。

その理由としてはオープン環境でのシステム再構築のためのコスト高や、設計書と現行プログラムとの不一致などにより、問題を先送りにして”現状維持”という判断を下しているからです。
※詳しくは「いつまでたってもメインフレーム・汎用機が無くならない理由とは」をご覧ください。

汎用機系エンジニアがいなくなるという危機感は覚えつつも、今後も汎用機がゼロになるという可能性は低いような気がします。

若い人材にCOBOLを覚えさせるのはありなのか!?

汎用機系エンジニアが不足するなら、若い人材にCOBOLを覚えさせようと思うかもしれません。それも間違いではないと思いますが、リスクも含んでいることを忘れてはいけません。

COBOLのような汎用機系言語と、.NET系やJAVAなどのオープン系言語では、特色のようなものが異なります。COBOLは柔軟性が低い言語ですし、オープン系言語ではオブジェクト指向を意識してプログラミングしていきます。

そのため.NET系技術者が、同じオープン系言語であるJAVAを覚えるのにそこまで抵抗はないでしょうが、COBOLばかり経験してきたエンジニアにとっては、オープン系言語はとっつきにくいものです。若いうちからCOBOLが当たり前だと思ってしまうと、その後のキャリアをどうしていくかということも考えなければなりません。

それに今後も汎用機がずっと現役で稼動してくれる約束もありません(こうしたことは何十年も前から言われており、結局無くなってはいませんが、誰も保障はしてくれません)。

本人が希望でもしない限り、若いエンジニアを汎用機系の仕事に慣れさせてしまうのは得策ではないのかもしれません。

 

おわりに

このままいけば、近い将来絶対に汎用機系エンジニアが不足して大問題となる日が来ることでしょう。そして同時に汎用機系エンジニアが貴重な存在となることも間違いありません。

それを見越して、汎用機系開発のスキルを若い人材に伝承しておくことも、企業としての戦略となるかもしれませんね。

 



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