工程遅れが深刻となり、リカバリーのために残業や休日出勤が続くような炎上プロジェクトは誰だって避けたいものです。しかし炎上するようなプロジェクトに参画しているメンバーって、にっちもさっちもいかなくなる前から「このプロジェクトはやばいかも・・」といったように、心のどこかで勘付いている人が結構多いものです。

でもなぜか問題提起しようとする人は少ないのです。プロジェクトに潜む問題は早めに対処しておけばおくほど、かける工数も少なくて済むのですが、なぜメンバーの皆は放置してしまうのでしょうか。その理由と対策についてご紹介していきましょう。

きわどい問題は他人事として考えてしまう

開発プロジェクトが始まると、メンバーには担当作業が割り振られ、成果については工程表やスケジュール表で確認することができます。個人の担当しているパートについては、担当SEも責任意識がありますので、なにか問題が発生すれば解決に向けて努力をします。

ですが問題はメンバー間の連携だったり、他社システムとの連携だったり、PMよりの問題だったり、責任の所在があいまいになりがちな懸案事項です。「自分にも非があるかもしれないけど、相手も悪い」と思ってしまうと、責任感も薄くなってしまいます。

また明確な担当者として指名されていない限りは「誰かがやってくれるだろう」という考えが浮かんできてしまいます。そうした思考が蔓延してしまうと、だれも目の前の問題にわざわざ手をつけようとは思わなくなってしまいます。

対策: プロジェクト全体で当事者意識を根付かせよう

心理的な問題解決になってしまいますが、プロジェクトに関わる全ての人が、プロジェクト全体のことを当事者意識で考えられるような意識を根付かせなければいけません。

そのためには週に一度でもプロジェクトの進捗会議を開き、現時点での問題事項を全員で共有する時間を取ることも効果的です。「自分の担当だけこなせば大丈夫」という思考ではなく、それぞれが「絶対にプロジェクトを成功させよう」といった気持ちを持つことが大事です。

そうした意識を根付かせるのも、PMとしての仕事の一つなのです。

代替案を出せと言われるのが嫌だ

プロジェクト遂行のための初期計画があったとしても、時間や人の問題で計画通りには遂行できそうにないことが分かった場合、それを報告しただけなのに「代替案を出せ」とか「お前が手伝ってやれ」なんて言われることが分かっていれば、誰しも問題提起をしようとする気は失せてしまうでしょう。

つまり不用意に自分の担当作業が増えるのは嫌なのです。もしこのような理由で問題提起が行われていないようであれば、過去に誰かがそう言われた実例があり、プロジェクト全体の雰囲気が悪くなっている可能性があります。

対策: 適任者に担当作業を割り振り、風通しの良いチームをつくる

今後トラブルに発展しそうな、小さな問題点を報告した人に「お前がやれ」というのではなく、PMやPLなどの報告を受ける側の人間は、「解決にはどれだけの工数がかかるか」や「誰が適任か」など、問題をどう解決していくかを考えるようにしなければなりません。

小さなことでも、上に報告しやすい環境をつくっていくことが、風通しの良いチームをつくる秘訣です。

緊張感が足りない

システム開発も現地テストなどの最終局面にもなってくると、お客様先で作業をすることも多くなりますが、それまでは社内で開発することになります。お客様と顔を合わせるのは打ち合わせぐらいのため、どうしても緊張感という点は低くなってしまいます。

そうすると問題を見つけても「後で対応すればいいか」という思考になり、ついつい問題を先送りにしてしまいがちです。こうした意識や緊張度の低下が、炎上プロジェクトを生み出してしまいます。

対策: プロジェクトのリスクを周知し、行動力を高める

プロジェクトが炎上してしまえば、会社は膨大な損害を被り、それは最終的に会社に勤めるSEに返ってくることになります。そうしたプロジェクト失敗のリスクを、できるだけ具体的に説明して、全体の緊張度を高めておきましょう。

また「後でやろう」といった思考はリスクを育てるだけですので、各SEの行動力も高めなければなりません。普段から仕事の優先順位や報・連・相の重要性など、技術的な部分以外の社会人教育もしておきたいところです。

 

おわりに

小さな問題を放置して、その場をやり過ごしたとしても、後になって大きな問題となって返ってきます。そして被害を被るのはプロジェクトに参画するSEやPGなどのメンバーたちなのです。

当事者意識を持つこと、緊張感を高めること、風通しの良いチームにすること、それらは各メンバーが意識するだけでなく、PMやPLといった立場の人間が、そうしたことを意識して問題提起が生まれるチームを作っていく努力をしていくようにしましょう。

 



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