「これやっといてくれないか」という上長の依頼に対し、「やっておきます」や「できます」と返答する場面は、ビジネスシーンならどんな職場でもよくあることでしょう。
システム開発の現場においても、上記のようなやり取りはよく見る光景です。しかし自分が上長やマネージャーという立場であれば、エンジニアの”できます詐欺”には注意しなければなりません。
“できます詐欺”とは
まず本件で言うところの”できます詐欺”の意味について。
エンジニアの「できます」や「やっておきます」という言葉を信じて、そのまま放置し、約束の期限に成果物を確認しようとすると「できていません」と返事が返ってくる現象。これが”できます詐欺”です。
※勘違いする人はいないと思いますが、これは刑事罰でもなんでもなく、ここで勝手につけている名称です。
仕事を依頼した側は「やるって言ったじゃん!!」と思わず口にしたくなりますが、納期が差し迫った状態では、それを言ったところでどうにかなるものでもありません。わき立つ怒りを抑えながらも、何かしらの代替案を練るなり、マンパワーを集結して力技でやり過ごすなり、少しでもリカバリーできるような策を講じるしかありません。
マネージャーとしては「あいつの”できます”なんて信じなければよかった・・」と思うでしょうが、まさにその通りで、簡単に「できます」や「やります」なんて言葉を信じてはいけないのです。
できます詐欺の被害でプロジェクトが崩壊する
“できます詐欺”の被害が顕著に表れるのは、開発プロジェクトの遂行中です。
例えば「できます」と返事をしたにもかかわらず、あるPGに依頼していたプログラムが期日までに仕上がっていないとします。そうすると後続の工程を作業するエンジニアのスケジュールにも影響が出てしまい、全体に大きな作業ロスが生まれてしまいます。
そんなことが続いていくと、いつしかプロジェクトは炎上し、エンジニアは疲弊し、品質は落ち、手戻り作業も発生し、といった負のスパイラルに陥ってしまいます。「できます」の言葉を信じた自分を悔やんだとしても、もはや後の祭りです。
コミュニケーションを密に取ろう
“できます詐欺”の発生を防止するには、プロジェクトチーム内でコミュニケーションを密に取っていくことが大事です。
プロジェクトが炎上してしまうのは、エンジニアのスキル不足でもなく、たいていの場合はコミュニケーション不足によるところが大きいです。”できます詐欺”もそうですが、プロジェクトの進行を阻害する要因の多くは、コミュニケーションが足りていないために発生するものなのです。
そのためエンジニアが一人で抱え込むのではなく、報告・連絡・相談が円滑にされているようなチームを作っていくことを意識しなければなりません。
エンジニアの”できます”は人によっては話半分程度に
上長やマネージャーの立場であれば、さまざまなエンジニアの「できます」に対して、区別することなく同じように信用するのではなく、「この子の”できます”なら大丈夫」や「この子の”やっておきます”は怪しいぞ」というように、エンジニアの個性を見抜いていくスキルも求められます。
そして信頼度の低いエンジニアからの”できます”という返答に対しては、話半分程度で聞いて、しっかりとフォローしていくような体制を敷いておくことをおすすめします。あとで後悔しないためにも、事前に予防策を張っておくのです。
適切な作業見積もりができるような教育を
しっかりと人を見抜けるマネージャーであればよいですが、そうでなければエンジニアの”できます詐欺”によって、多くの損害を出してしまうことになります。
上長やマネージャーの質を高めるということも大事ですが、根本的な問題解決のためには、エンジニアがしっかりと作業見積もりをできるような教育を施すことも大事です。
自分に与えられた仕事に対して、どのぐらいの時間をかければ終わらせることができるのか。最初は上手に見積もれないかもしれませんが、見積もりを立て、結果を検証することを繰り返していく中で、徐々にでも見積もり能力を養っていくようにしなければなりません。
自分自身で適切な作業見積もりができるようになれば、なんでもかんでも「やっておきますよ」や「大丈夫ですよ」といった安請け合いをすることも少なくなるはずです。不用意な仕事の安請け合いは誰も得をすることがないので、絶対にやめましょう。
おわりに
作業依頼に対して、「できます」と言ったにもかかわらず結局できない現象を”できます詐欺”と名付けてしまいましたが、本当にこれが原因でプロジェクトが炎上してしまうことは実際にある話です。
エンジニア個人の作業見積もり能力を高めていきつつ、作業指示を出す側にいる上長やマネージャーであれば、すべてのエンジニアの言葉を平等に信じることのないようにしましょう。それもマネージャーとしての大事なスキルなのです。
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