システムエンジニアという職業は技術職のため、経験を積めば積むほどスキルレベルが高くなり、頼りにされるエンジニアとして成長していきます。ただし50歳を過ぎてくると、頭の回転という意味では若い人に負けることも多く、体力も衰えてかつてのようにバリバリ働くことができなくなってしまいます。

またエンジニアとしての単価も高くなってしまうため、開発プロジェクトでは敬遠されてしまうこともしばしば。管理職にでもなっているなら話は別ですが、生涯エンジニア人生をまっとうしたいという方なら、これではいけません。

そこで今回は50歳を過ぎても、お客様から、またはチーム内のメンバーから頼られるSEになるために大切なことをご説明していきたいと思います。

業務知識をしっかりと蓄えろ

まず前提として50歳にもなれば、システム開発の上流工程から任せられるのは当たり前ぐらいのレベルになっていなければいけません。最低でも基本設計からできるようなエンジニアでないと、それこそプロジェクトに入ることすら難しくなってしまいます。

そして「誰からも頼られる」というエンジニアになるためには、技術力だけではいけません。確固とした技術力の上に、業務知識というスキルも必要になってきます。

質の高いシステムを設計するには業務知識が必要不可欠

システムエンジニアはさまざまな業界のシステムを構築しています。運送業、建設業、製造業、小売、金融、公共、文教など、本当に多岐にわたります。そしてお客様となるのは、その業界の一線で活躍している方ばかり。エンジニアもその業界特有の業務の流れや仕組みなどを知っていないと、お客様と話をすることができません。

さらにエンジニアがその業界の業務知識が豊富であればあるほど、システム構築というものと絡めた形で、お客様にご提案するような形で開発を進めていくことができます。

例えば当社では地方自治体の税系関係のシステム構築をすることも多いのですが、エンジニアの業務知識が豊富なら、市役所の職員さんに税額計算時に発生するイレギュラーなパターンをどうするのか、処理件数や処理パターンに応じて最適な運用方法をご提案することが可能になります。

提案型の開発までできるようになれば、最上流工程である要求分析や要件定義の質も格段に高くなりますし、お客様からの信頼度も高まります。

業務知識豊富なエンジニアになるためにはどうするか

それでは業務知識はどのようにして覚えていけばよいのかという点について。

システムエンジニアやプログラマーになるためには、多くの方がIT系専門学校や大学の情報処理専攻で、システム開発の基礎を学んでいるかと思いますが、残念ながら業務知識という点は学校では学ぶことはできません。またインターネットを利用してあらゆる情報を入手できる時代になりましたが、お客様に提案できるほどの深い業務知識は、まだまだインターネット上には載っていないことが多いです。

ではどうするのかと言うと、これはもう経験の中で覚えていくしかありません。実務レベルのシステム開発の現場にて、製造業関係のプロジェクトに入れば部品表の仕組みなどを覚えますし、自治体関係のプロジェクトに入れば、住民税や福祉医療関係の仕組みを覚えることができます。

PGであってもSEからあがってくる設計書どおりに、ただただ開発をするのではなく、自分がしているプログラミングの背景などを考えながら、その業界のことを貪欲に吸収していく姿勢で臨みましょう。

30歳を過ぎたら特定分野の開発案件に特化しよう

業務知識が大切だとは言っても、あらゆる業界の知識を網羅して覚えることはまず不可能でしょう。いろんな業界のことを知っているのは悪いことではありませんが「広く浅く」になってしまい、誰からも頼られるエンジニアになることは難しい。

20代はさまざまな現場を経験して、SEとしての技術的スキルを磨いていけばよいですが、30代にもなれば、特定の業界のプロフェッショナルとなれるよう、参画するプロジェクトは絞っていったほうがよいです。

個人事業主ではなく、会社に所属しているSEならば会社側のサポートも必要になりますが、いつまでたっても様々な業界の開発案件にアサインされるようなら「自分はこの分野に特化したエンジニアになりたい」と、希望を伝えてみると良いでしょう。エンジニア人生を考えるのであれば、自分の活躍できる道というのを早々に決めておくことが大事です。

 

おわりに

システムエンジニアの質というのは、単純にプログラミング能力や設計能力だけで測れるものではなく、業務知識の豊富さという点も含めて、はじめて正当に評価できるものなのです。いつまでたっても誰からも頼られるエンジニアになるためには、若いうちから積極的に業務知識を蓄えていきましょう。