システム開発を進めていくと、たびたび発生するのが工程遅延。プロジェクトマネージャを立てているにも関わらず、なぜだか工程が遅れていってしまう。
工程が遅れてしまう要因として、技術スキルの足りていないエンジニアが多いのでは? と思ってしまいますが、実際にはスキルレベルが原因となることはそうそうありません。それよりも、しかるべき伝達事項が漏れていたがゆえに発生する「言ったはず・聞いてない」というコミュニケーション不足が要因となるほうが多いのです。
適切な伝達・連絡のしかた
コミュニケーション不足による工程遅延はあまりにもくだらないので、チーム内で情報をやり取りするための適切な連絡手段について、書き記していきます。
記録に残しておくべきことはメールで対応
情報の中には記録に残しておきたいものがあります。例えば「5月30日の14時~、3階会議室でプロジェクトミーティングを行います」という場合、口頭でも伝えることは可能ですが、聞き手は間違えて覚えてしまうリスクがあります。こうした時間・日付・場所などを伝える場合には、メールを利用して文書に残しておくと、認識のズレが発生しません。
その他にもAさんからの頼まれごとをBさんに伝達する場合、口頭で伝えようとすると、伝言ゲームのように間違った解釈で物事を伝えてしまうことがあります。こうした場合もメールを利用し、TOの宛先でBさんを指定し、CCでAさんを指定することで、一方通行の情報を共通認識とすることが可能になります。
記録に残しておきたいことや、急を要する用件以外はメールを利用するようにしましょう。
緊急を要することは電話・直接伝える
緊急時の対応はメールではなく、電話を利用したり直接伝えるようにしましょう。メールでも伝達はできますが、いつ確認するのかはメールを受け取る側の自由です。それにメールは相手がメールを開かない可能性もありますが、電話を利用すれば必ず情報を届けることが可能です。
もし自分の担当する作業で想定外の事項が発生し、別エンジニアの作業に影響が出るようであれば、早めに教えてあげることで、チーム内の仕事を円滑に進めることができます。そのほかお客様からの仕様変更依頼も、早い段階でメンバーに周知しておけば、作業のロスを減らすことができます。
電話は相手の作業を中断することになるので使いどころは注意
ただし電話はメールとは違い、相手の作業を中断して、そこに割り込むような形となります。エンジニアによってはそうしたことを嫌がる人もいます。
情報を伝える側としては、なんでもかんでも口頭で伝えるのではなく、”今すぐに伝えるべき情報”と”後でもよい情報”、それぞれをしっかりと区別できる能力が求められます。
重要事項はメールと口頭、両方で伝える
情報も重要度という観点で、いくつかの段階に分けることができます。
例えばメンバー間へのプロジェクトミーティングの案内なら重要度「低」、PMからメンバー間への問題点と対策事項の共有なら重要度「中」、お客様からの指摘事項で工程戻りが発生する内容なら重要度「高」といったように。
重要度が高ければ高いほど、すぐに対応するべき事項であり、伝達漏れが発生すれば工程管理にも影響を及ぼしてしまいます。
だからこそ重要事項は口頭で伝え、さらにメールも送るという二重の策をとることが原則。第一報として電話で状況を報告するなり対応策を説明するなりして、その次にメールを利用して認識のズレをなくすのです。
相手に伝わったことを確認して初めて伝達したといえる
連絡の本質とは「相手に伝わったことを確認して初めて伝達したと言える」です。ここの意識が低いと「言ったはずなのに・・」とか「そんなこと聞いてないよ」といった不毛な会話が生まれてしまいます。
情報を伝える側も、電話なりメールなりで「言ったからいいや」や「送ったから伝わってるはずでしょ」で終えるのではなく、しっかり伝わっていることを確認するまでが大事です。
リーダーであればメンバーに対して周知した事項に対して、何かしらの反応が起きているかどうか、必ずフォローしていくようにしましょう。それもマネージメントの仕事の一つで、管理者たるものに求められる能力でもあります。
おわりに
社会人のコミュニケーションでは「報告・連絡・相談」が大事だと習いますが、それはまさしく基本で、仕事上で起きる問題もコミュニケーション不足が要因になっていることが多々あります。
システム開発の現場でも「言った・聞いていない」で深刻な工程遅延に発展する場面も多々見受けられます。”連絡”を行う際には、今回説明した内容を参考にしていただくとよいでしょう。
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