新卒だけでなく中途であっても、どの企業に入社するかを選択するときには、会社の募集要項には必ず目を通すのではないでしょうか。募集要項の中には、募集職種、勤務時間、諸手当、福利厚生などがありますが、その中でも生活していく上で必要不可欠な”給与”を気にするのは当たり前だと思います。
ただし給与を確認して満足するだけでなく、”基本給”がいくらなのかということも必ず確認しておいたほうがよいでしょう。会社選びの際に基本給をしっかり確認することの意味についてご説明してしていきます。
給与と基本給の違い
まず知っておきたいことは給与と基本給の違いについて。
給与と呼ばれるものは、基本給に加えて、職務手当てや見込み残業代など、毎月固定で支払われるものが含まれています。そのため基本給が15万円だとしても、職務手当てが2万円、見込み残業代が3万円であれば、給与は20万円ということになります。
給与という欄の額が高ければ求職者の反応も良いため、会社によっては資格手当や扶養手当、交通費などの状況によって変動する項目も給与額に含んでいることもあります。給与総額だけにとらわれることなく、その内訳がどうなっているかも確認するようにしましょう。
また”給与”ではなく”月給”と表示されていることもありますが、意味合いとしては給与と同じです。
対して基本給とは、手当てや残業代を含まない、一番底のベースとなる給与額のことを言います。
基本給が全てのベースとなる
「給与額だけ確認すれば、どうせ貰える額は一緒なんだからいいじゃん」と思われるかもしれませんが、年間を通して考えると決して同じではありません。以下に挙げる項目は基本給をベースにして計算されることが多いのです。
※会社の基準によって異なることもありますが、多くの場合はこれらの項目が該当します
- 残業代
- 賞与(ボーナス)
- 昇給
- 退職金
残業代
まず一番身近な手当金といえば残業手当。この残業手当については、会社によって定められた労働時間を超過すれば支払われるものです。その際には基本給を規定労働時間で割った額の1.25割増の額に対して、残業時間を掛けた額が支払われるのが一般的。
例えばその月の規定労働時間が160時間で、10時間分の残業をした場合、次のような計算式になります。
(基本給 ÷ 160) × 1.25 × 10 = 残業代
上記の場合、もし基本給が20万なら残業代は15,625円ですが、基本給が15万円だと残業代は11,718円になってしまいます。基本給の差が大きくなればなるほど、残業時間が増えれば増えるほど、本人が貰える残業手当の差も大きくなるのです。
賞与(ボーナス)
毎年2回支払われるボーナスについても、基本給をベースにして考えられます。ボーナスで気になるのは「何ヶ月分の支給か」ということですね。
もしボーナスは年間4ヶ月分と記載があっても、基本給が15万円であれば総額60万円。基本給が20万円なら80万円となり、20万円も差額が発生してしまいます。考え方はそれぞれですが、20万円という額は大金ではないでしょうか。
最近は年功序列ではなく実力主義の制度に変わりつつあるため、「何ヶ月分支給」と明記することも少なくなりましたが、それでも基本給をベースに支給することには変わりありません。賞与を考える上でも、給与ではなく基本給を意識しておくべきでしょう。
昇給
多くの会社では年に一度の昇給があります。昇給額は目安として平均○%と記載されることもありますが、これも基本給に対してのパーセンテージであることを忘れずに。基本給が高ければ同じ3%でも昇給額は高くなるわけです。
ただこれも実力主義の浸透から、一律○%UPということも少なくなりましたが、基本給がベースになっていることを意識しましょう。
退職金
退職金を貰うのは遠い先の話になるかもしれませんが、国の年金制度が崩壊しつつある現代社会において、退職金がしっかりと貰えるかは、漏れなく確認すべき事項です。
そして言うまでもないですが、退職金の支給も退職時の基本給に応じて計算されることが多いのです。退職金の計算式にもよりますが、基本給がしっかりしている会社ほど、退職金も手厚くなると考えることができます。
おわりに
会社を選ぶときには、会社の理念に共感するとか、自分のやりたいことが実現できるなど、「想い」という部分はとても大事です。ただし「想い」だけでご飯が食べれるほど、世の中も甘くありません。
生活していくことを考えれば、金銭的な面を見ることも忘れてはいけません。求人票に記載の募集要項の中では、給与ではなく基本給がいくらなのかをしっかりと確認することをおすすめします。
ちなみに当社では○○手当てや見込み残業代などの制度は取り入れず、少しでも多くの額をエンジニアに対して還元したいとの想いから、基本給一本化の給与体系にしております。
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