昨今では人口減少とともに、働き手の不足が騒がれることも多くなりました。WEBやソフトウェア開発を生業とする私たちIT業界においても、働き手の不足は深刻な問題となっており、経験者採用が難しいことから、積極的に未経験者を採用する企業も増えてきました。
未経験者にとってはITエンジニアへと転職しやすい流れではありますが、会社選びについてはいくつか注意してほしいこともありますので、ここでご説明をさせていただきたいと思います。
未経験からIT業界への転職で起きている不幸
未経験ではありながら、SEやPGといったITエンジニアに転職できるチャンスだと、他業種からの転職を決意する方は多いですが、不幸な現実があることも忘れてはいけません。まずは”ある意味”、ITエンジニアへの転職に失敗するケースをご説明しておきましょう。
未経験からITエンジニアとして転職をした場合、多くは数週間から数ヶ月程度、社内でITにまつわる基本的な知識を学ぶための研修を受けることが多いです。ここまでは何の問題もなく、会社側が教育費用を負担する形で研修を実施することは非常に良いことだと思います。
ですが肝心なのは研修終了後のこと。どのような開発プロジェクトに参画するかです。
転職「成功」パターン
失敗例の前にですが・・ 未経験からの転職で”成功”といえるパターンは、入社後、もしくは研修終了後に、自社の先輩SEが参画している開発案件にて、一緒のチームに加えてもらう場合です。そこでは雑用などの業務はもちろんあると思いますが、コーディングや単体テストなど、まずはプログラマーレベルの仕事を任せてもらえるでしょう。
1,2年ほどすれば、システム開発の仕事も身になってくると思いますので、あとは努力を重ねてシステムエンジニアとしての技術力を高めていくことに専念できます。
転職「失敗」パターン
上記は成功パターンですが、本件で伝えたいのは未経験からの転職に”失敗”するパターンです。
失敗パターンとは、入社後、もしくは研修終了後に、ヘルプデスク・評価・キッティング・サーバー監視などの業務に従事させられてしまうことです。時には「まずはIT業界のことを知るために」などと言われ、上記のような業務に従事することを指示されるかもしれません。
確かに業界のことを知るという意味では、マイナスなことではないのかもしれませんが、上記のような業務では、PGやSEなどのITエンジニアに必要とされる開発スキルはほとんど身につきません。
開発スキルが身につかないということは、システム開発のプロジェクトに参画しようにも、それができなくなることを意味します。システム開発はお客様先に常駐することが多いものですから、お客様としてもスキルのない者に対してお金は払いたくないのです。
最初は1年のつもりだったはずが、10年以上ヘルプデスクやサーバー監視などをやってきましたという人は大勢います。「30代になっても開発スキルが身についていない」ということになれば、それはもはや”ITエンジニア”ではありません。それゆえ今後のキャリアも決して明るいものではありません。
こうしたケースは未経験転職の”失敗例”といってよいでしょう(あくまでITエンジニアを目指す人の)。不幸な結末ではありますが、実際にこうしたケースはよくある話なのです。
未経験からの転職時、会社選びで確認しておきたいポイント
では先に説明したような、ITエンジニアになれずに未経験からの転職に失敗することを避けるにはどうすればよいのかですが、転職時には慎重に会社選びをすることが大事になってきます。
そこで採用面接時に「これだけは確認しておきたい!」というポイントをご説明していきます。
入社後・研修終了後はどのようなプロジェクトに参画できるか
正直研修の内容はそこまで重要ではありません、大事なのは実務レベルでどのような業務に従事することができるかです。
まずは入社後、もしくは研修終了後に、どのようなプロジェクトに参画できるかを確認してみましょう。「まずは社内で請負っている開発案件で仕事を覚えてもらう」とか「当社が直接取引しているお客様環境(より具体的であればよい)にて、OJTのような形で参画いただく」などの返答があれば、多少は安心ができます。
「本人のスキルに合う仕事を探すよ」とか「仕事はあふれている状態だから、何かしらの開発業務に入れるはずだよ」などの、ぼやっとした返答であれば要注意です。開発業務をやらせてくれると聞いていたのに、実際はサーバ監視の業務だった・・ということにもなりかねません。
取引先を確認
面接を受ける企業の主要取引先を確認しましょう。主要取引先がエンドユーザーや大手ソフトウェアベンダーではなく、中小ソフトウェア企業ばかりのときは要注意です。
こうしたケースは自社の営業力が弱く、他社に営業を任せていることも多いです。(横のつながりが強いソフトウェア業界なので、営業を他社に任せることはよくあるのです。)
ただし他社からしてみれば、別会社に所属の技術者のキャリアを本気で考えるなんてことはありません。まずは売上げを上げるために、未経験でも参画しやすいPCキッティングなどの業務にアサインされてしまう可能性が高くなります。
未経験者を採用した実績から、できるだけ失敗例を聞く
過去にも未経験者を採用している企業なら、しっかりと技術者として成長できているか、実績を確認してみましょう。
ただし企業側としては悪い話はしたくないので、できるだけ成功したパターンを話すはずです。それでは意味がありませんので、できるだけ失敗した例も聞いておくとよいでしょう。失敗した例が「OJTもつけ、成長できる環境を用意したものの、本人の努力不足でスキルが伸びず、退職者を出してしまった」というものであれば、まだよいかもしれません。研修ではなく、実務レベルで開発スキルを学べる環境が用意されていたのかどうかが重要です。
また実績としては、現状ヘルプデスクやサーバー監視などの業務を行っている社員がいるかどうかも確認しておきたいです。もしそうした業務に従事している社員がいるようなら、自分も担当させられる可能性が十分にある、と考えたほうがよいでしょう。
開発プロジェクトにはチーム単位で参画していることが多いか
未経験者の場合、どうしても単発では開発チームに参画できませんが、ITエンジニアとして成長するには、まずは実務レベルのプロジェクトに入り、経験を積んでいく必要があります。そこで有効なのがOJTのような教育体制を用意してもらうことです。しかしOJTの環境を用意するにも、その会社が複数名のチーム単位で開発に参画していることが条件となります。
複数名のチーム体制でSEが開発案件に参画していれば、きっとお客様の信頼も厚いでしょうし、たとえ未経験であっても増員してもらえる可能性は高くなります。どのような体制で動いているかも、面接時に確認しておくポイントです。
おわりに
IT業界の経験がないと、転職先企業を選ぶにも分からないことが多く、適正な判断をするのは難しいかもしれません。しかし転職は人生の中でも大きなイベントです。しっかりと情報集めをして、ITエンジニアとして成長できる企業を選ぶようにしましょう。
基本、企業側は良いことしか言いませんので、聞いたこと全てを信じるのではなく、まずは疑いの目を持ってかかることも大事なのです。これから他業種からIT業界に転職を考えている方は、是非ご参考にしてください。
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