有能なSEと言われるには「SEやPGにとってのスキルとはいったい何を指すのか?」でもご説明しているように、プログラミング能力やコミュニケーション能力など、さまざまなスキルが必要になるわけですが、業務知識の豊富さという点も大事になってきます。
ITエンジニアとしての技術力だけではなく、専門分野に特化した業務知識があるからこそ、いくつになっても頼りにされるSEとなるのです。では業務知識はどのようにして身に付けていけばよいのか? ということについて、ご説明していきたいと思います。
インターネットでの情報収集には限界がある
近年はインターネットの発達も目覚ましく、自分が知りたいと思った情報は、時間も場所も関係なく手に入れられる時代になりました。
もし金融系の開発案件に入ることになり、金融業界の仕組みを事前学習しようと思えば、まずはインターネットで検索をかけることでしょう。そうすれば金融機関の公式サイトから個人ブログまで、様々なサイトが検索結果としてヒットし、それらを読み込めばある程度の知識を得ることができるはずです。
しかし多くの情報であふれているインターネットの世界でも、”広く浅く”という知識が多く、システムエンジニアとして必要になる”狭く深く”という情報は案外少ないものです。業務知識を身に付けようと思っても、インターネットでの検索には限界があるのです。
深い業務知識は開発現場の中でしか習得できない
深い部分の業務知識を身に付けようと思えば、やはり開発現場の中でしか習得できません。実際に自分が体験することで、イレギュラーなパターンを含めた業界内の仕組みから、お客様が不便に感じていることや、業界は同じでも個々のお客様によって異なる習慣などを知ることができるのです。
特に新人エンジニアの頃は、SEとしての技術面でも未熟な部分が多い上に、業界の習慣も分からないため、苦労することも多いはずです。
業務知識を身に付けるために意識すること
プログラマーとして満足するなら別ですが、システムエンジニアとしてやっていきたいのなら、積極的に業務知識は自分のものにしていかなければなりません。そのため何も考えずに与えられた仕事をこなすのではなく、次にご紹介するような視点を持ちながら仕事に取り組むことで、より早く業務知識を身に付けることができます。
システムの背景にあるものを感じ取ろう
プログラマーはSEが用意した仕様書にもとづいてプログラミングをしていくのですが、何も考えずにソースコードを書いていくだけではなく「なぜその処理ロジックが必要になるのか」や「インプットデータとアウトプットデータの関係性は」といった部分にも着目しながらコーディングしていくようにしましょう。
自分が行っているプログラミングという作業から、システムの背景にあるものを感じ取りながら作業するだけでも、何も考えずに作業しているプログラマーよりも、圧倒的に多くの業務知識を身に付けられるはずです。
業務知識が身に付いてこれば、設計書のおかしな部分もSEに対して指摘できるかもしれません。そうするとプログラマーとしての評価も上がり、重宝される存在になることでしょう。
積極的に上流工程にも挑戦していこう
設計フェーズや要件定義などの上流工程にも積極的に挑戦していきましょう。システム開発の中でも上流工程は業務知識なしでは行えませんので、より早く多くの知識を身に付けることができるはずです。
もちろん最初から一人で行うのは難しいので、まずは先輩SEに対して「お客様との会議に同席してもいいですか?」や「設計書を書く手伝いをさせてください」と要望を出して、SEのサポート業務から始めていくとよいでしょう。
面倒な議事録作成もチャンスと捉えよう
SEなら憂鬱で退屈な作業となる議事録作成ですが、これも業務知識を覚えられるチャンスと捉えるようにしましょう。
録音した議事内容をただ文章に書き起こしていくだけでなく、分からない言葉があればすぐに調べたり、議事内容が理解できなければ、先輩SEに質問をして教えてもらいましょう。
そうすることで、自然と業務知識は身に付いていくものです。
お客様との会話も勉強のうち
ある程度業務知識が身についてくれば、お客様ともそれなりの会話ができるようになってきます。そして深いところの業務知識は、お客様から教えてもらうのが一番です。
とは言ってもプロ対プロの仕事ですから、馬鹿正直に「何も分からないので教えてください」とお願いするようでは信頼を落としてしまいます(新人の頃はそういうのもアリかもしれませんが・・)。
システム開発を遂行する上での懸案事項を質問表としてまとめたり、雑談レベルで業界の動向を聞くなりして、外からでは分からないような、深い部分の業務知識を習得していくようにしましょう。
おわりに
ITエンジニアと言えども、努力もせずにPGからSEへと、さらには誰からも頼りにされるSEになれるわけではありません。業務知識が豊富なSEになりたければ、業務に対する考え方にしても、向き合い方にしても、それなりに努力をしなければならないのです。
当サイトの過去記事「50歳を過ぎても頼られるSEになるには業務知識を蓄えよ」でもお伝えしている通り、どんどん若いSEが登場する中で、年配SEが優位性を保つためには、業務知識や経験を武器にして勝負することが必要不可欠になってきます。
業務知識は一朝一夕で身に付けられるものではありませんので、できれば若いうちから今回ご説明したような思考をもって開発業務に取り組むようにしたいものです。
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