IT業界においては、新規システムの開発から旧システムからのマイグレーションやシステム乗り換えなど、いくつもの開発プロジェクトが走っております。その中でも順調に納期をむかえるプロジェクトもあれば、残念ながら大炎上してしまうプロジェクトも存在します。

どうしてそこまで違いが生まれるのかと言うと、お客様の質や技術的な問題もあるかもしれませんが、たいていはプロジェクトを取りまとめるPM(プロジェクトマネージャー)の能力によるところが大きいです。開発プロジェクトを成功に導くのに欠かせない、”できるPM”がやっていることについてご説明しきましょう。

同じメンバーでもPMが違うと仕事の質が変わる

SE・PGが複数名メンバーとして集まったとしても、PM次第でプロジェクト全体の生産性や仕事の進め方、作業の質などが変わってきます。同じメンバーのはずなのに、PMが変わるだけで良い仕事ができるようになるのですから、それぐらいPMの存在は重要なのです。

“できるPM”がいるプロジェクトに参画すれば、円滑にプロジェクトが進んでいく可能性が高いので、SEやPGとしても当たりプロジェクトになるでしょう。逆に”できないPM”が統括するプロジェクトに参画すると、納期間近になって様々な問題が発覚し、プロジェクトが炎上します。徹夜続きとなり、メンバー全員が疲弊します。エンジニアにとってもお客様にとっても残念な結果となってしまうでしょう。

“できるPM”が取りまとめるプロジェクトは何が違うのかということを、次にご説明していきたいと思います。

能力の高いPMが実践していること

工程・品質の管理が徹底している

まず”できるPM”が面倒を見るプロジェクトは、開発を円滑に進めていく上で非常に重要となる、工程・品質の管理が徹底されています。

しっかりと工程表上でスケジュール管理をして、予定した期日通りに工程を進めていく。もし遅れてしまった場合は、「いつかは工程遅れを取り戻そう」というフワッとした対策ではなく、どうすればリカバリーできるかを論理的に詰めていきます。

そしてお客様にも設計書や実物ベースで仕様確認を取りながら、品質についても保証していくことが大事です。納期間近になってから「こんな機能は頼んでいない」と言われてしまえば大幅な手戻り作業となってしまいますので、お客様を巻き込んでの進め方をします。

工程と品質を意識することは、プロジェクトを進めていく上での基本中の基本ですが、これが徹底できないエンジニアが多いのも事実です。工程と品質の話はこちらの「プロジェクトの炎上を防ぐなら「工程厳守」と「品質確保」を忘れるな」も参考にしてください。

問題は先送りせずに逐一つぶしていく

開発プロジェクトを進めていくと、さまざまな問題にぶち当たります。それは技術的な問題や人的な問題など、その分類も多岐にわたります。

その手のトラブルは予測もしていませんので、問題解決のための作業は余計な手間という考え方もできます。担当エンジニアも暇ではありませんので、できるだけ他の人に対応を任せたいと考えます。ですが他エンジニアも同様のことを考えていますので、結局問題が先送りにされることはよくある話。

問題を先送りにして、何もなかったかのように振る舞っていたとしても、先送りにした問題は必ず後からツケが回ってくるものです。そして厄介なことに後になればなるほど解決するためには多くの時間と人手を要します。

だから問題やトラブルが発生した際には、PMも「誰かSEが担当して解決するだろう」という淡い期待を抱くのではなく、自ら問題解決のための指揮をとるようにしましょう。誰が問題を解決するのに適任なのか、問題解決にあたっている間の作業は別メンバーでフォローできるのかなど、しっかりとプロジェクト全体の状況を考えながら最適な策を講じていくことが求められます。

メンバーの状況に目を配れる

プロジェクトを動かしていくのは機械ではなく、SEやPGなどのメンバーです。だからこそメンバーの状況にも目を配り、精神的に辛そうにしているメンバーや、困っていそうなメンバーがいないかなど、しっかりとメンバーの様子を把握しておくようにしましょう。

メンバーの様子に無頓着だと、思うように開発が進みませんし、それをメンバーのせいにしてしまうようでは、負のスパイラルに陥ってしまいます。「大人なんだから自分でどうにかしろ」というのは正論のように聞こえますが、それはプロジェクトの管理というPMの仕事を放棄しているとしか言いようがありません。

メンバーが技術的な面で困っているようなら、先に説明した問題解決の時と同じく、どうすればいち早く解決できるかを探っていくべきですし、負荷が高くなり疲弊しているメンバーがいれば、どこかで休息を取らしてあげるといった配慮も大事なことです。

人を見る能力が高いということも、できるPMとしての資質なのです。なにしろPMとは「プロジェクト”マネージャー”」の略語なのですから。

士気を高めて一体感を出す

同じメンバーが集まっていても、PM次第で全体のやる気のようなものも変わってきます。”できるPM”は士気を高めるということも上手なのです。

プロジェクトが佳境になればなるほど負荷も高くなりますし、目の前の仕事と向き合うのも辛くなってくるもの。さらにトラブルなどが続けばプロジェクトチーム全体の士気は下がってきます。

そこを乗り越えるためには、短時間でもよいのでプロジェクトのメンバー全員を集めてミーティングを行い、プロジェクトの遂行にまつわる情報を全員で共有し、絶対に成功させようという気持ちをメンバーひとりひとりに持ってもらうようにします。同じ目標を共有するチームとして、一体感を作り上げていくのです。

士気が高くなるとメンバー間でのコミュニケーションも活発になりますし、自然とよい方向に向かっていくことが多いです。技術的な面だけではなく、精神的な面でもフォローしていくことがプロジェクトを成功に導く秘訣なのです。

 

おわりに

一般的に”できるPM”と呼ばれている人は、以上のようなことをそつなくこなせる能力を持ち合わせているものです。できるSEやPGが集まっていたプロジェクトチームでも、PMの能力が不足しているばかりに炎上してしまうこともあります。

プロジェクトを成功に導きたいのであれば、全体を統括するPMの存在が鍵になってくるのは間違いありません。SEとPMでは仕事の質が異なりますので、できるSEがそのままPMをやれば大丈夫ではなく、PMとしての能力を高めていくことも大事になってきます。

 



【株式会社キーシステム】

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