世間の認識では「システムエンジニア = コンピュータには精通している」というイメージだと思いますが、必ずしもその認識通りではありません。コンピュータを商売道具としているシステムエンジニアであっても、意外とコンピュータに詳しくない人も多いのです。

そのため一般の人から「パソコンの調子がおかしいからちょっと見てくれないか」と言われ、調べてみるも結局原因が分からずにがっかりされる場面もあったりします。今回はSEのコンピュータに対する知見について、ご説明したいと思います。

コンピュータそのものよりも使うことが得意

今のシステムエンジニアと呼ばれる人たちは、コンピュータそのものよりも「コンピュータを使うことが得意」と思ってもらったほうがよいかもしれません。

例えば作業効率化のためのショートカットキーは一般の人よりも使えますし、インターネットでの検索の仕方やワードやエクセルといったオフィス製品の使い方も心得ています。なによりプログラミングに関してはエンジニアの専売特許です。

しかしコンピュータそのものについては、一般の人以下とまでは言いませんが、知識の乏しいエンジニアが多いです。もし「コンピュータを自分で組み立てよ」という指令があったとしても、どんな部品を集めてよいのか分からないと答えるエンジニアがいることも事実です。

そのほかネットワークまわりや、OS・ミドルウェアあたりなんかも、よく分からないままコンピュータを使っているエンジニアは多数います。

コンピュータを知らなくてもSEとしての仕事はできる

なぜコンピュータそのものの知識が乏しいのかと言うと、それを知らなくてもSEとしての仕事ができてしまうからです。

システム開発の中でも最上流工程である要件定義などで、開発言語の選定やシステムの機器構成から決めていくことをしなければ、あとは開発環境さえあれば仕事ができてしまいます。その開発環境でさえ、現場に入った時点で既にセットアップされていれば、ますます自分で覚えてどうにかしようという気持ちもなくなります。

パソコンにしても今はノートPCの性能も高くなっていますし、OSも既にインストールされた状態で販売されています。メモリも性能が高いため、不足して部品を取り替えることも無ければ、ドライブのパーティションを自ら分割することもありません。

あまりコンピュータそのものの動きを意識する必要が無いため、自然とコンピュータそのものを知る機会がなくなっているのです。

昔のSEはコンピュータに詳しい人も多かった

昔のシステムエンジニアはコンピュータに詳しい人も多かったです。と言うのも、先に説明したように現在ほどコンピュータの性能も良くなかったため、負荷のかかる作業を実行したければ、自分でマシンをカスタマイズしていくしかなかったからです。

そうしていくうちに、機器構成はもとより、OSやミドルウェアのようなコンピュータが動作する根幹の部分まで知見を広げていくことができました。

システム開発のための技術はどんどん進歩しているため、それにつれて今のSEはスキルレベルも高くなっているのですが、かつてのSEにあって今のSEに無いものは、コンピュータそのものの知識といったところでしょうか。

ハードやネットワークまわりも詳しくなっておくとよい

コンピュータを知らなくてもSEとしての仕事を遂行できるとは言え、やはりSEたるものハードやネットワークまわりにも詳しくなっておくと、何かと重宝されます。

例えばお客様と会話をしていると、必ずしも提供しているシステムに対しての質問が飛んでくるとは限りません。もし「システムが起動しない」というトラブルが発生すれば、システム自体に不具合があるかもしれませんが、お客様が使われているPCのハード面だったり、ネットワーク環境が原因の可能性もあります。

そうしたときにコンピュータの知識が豊富であればあるほど、トラブルを迅速に解決することが可能になります。

またSEであるのに、コンピュータ関係の質問に対して「分かりません」と答えるのは少々恥ずかしい気もします。システムまわり以外の質問にもスマートに回答できるようになると、お客様から「あの人に聞けば大丈夫」と思われ、信頼関係を構築するのにも役立ちます。

さらに開発チームのメンバー間でも、インフラまわりの知識が豊富だと、頼りにされる機会も多くなります。頼りにされる機会が多くなるということは、エンジニアとして評価されることにつながります。

「システム開発だけできればいい」ではなく、さまざまな知識をつけていく努力を怠らないようにしましょう。

おわりに

「コンピュータを使うのは得意だが、コンピュータそのものは苦手」というのが、今のシステムエンジニアに見られる傾向でしょう。誤解を避けるために追記しておきますが、もちろん全てのエンジニアがそうではなく、一部にはコンピュータに精通しているエンジニアがいることも確かです。

しかしエンジニアとして活躍の場を広げるためにも、またお客様との信頼関係を築くためにも、コンピュータそのものの知識も蓄えておくとよいでしょう。

 



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